
住宅購入で年収別の無理のない予算は?資金計画のポイントも解説
住宅の購入は、多くの方にとって一生に一度の大きな決断です。「自分の年収で、どのくらいの金額までなら無理せず購入できるのか」と不安を感じていませんか。この記事では、年収ごとに無理のない住宅購入予算の目安や、月々の返済額のシミュレーション、頭金や諸費用の考え方、そして長期的に安心できる資金計画のポイントまで分かりやすく解説します。安全に、そして失敗しない住宅購入を一緒に考えていきましょう。

年収別に見た無理のない住宅購入予算の目安
住宅購入を検討する際、「年収倍率」と「返済負担率」は予算を見立てる上で重要な指標です。まず年収倍率は、額面年収に対してどれくらいの借入額が適切かを示します。一般的には年収の5〜7倍が目安とされ、理想的に抑えたい場合は年収の4〜5倍とされています。例えば、年収600万円の方なら借入は2400万円〜3000万円程度が無理のない範囲です。ただし、地域や住まいタイプによる差もあるため、個別の状況に応じた判断が大切です。
具体的には、フラット三十五(全期間固定金利型住宅ローン)を利用した方の平均年収倍率は「土地つき注文住宅で約7倍」「マンションで約7倍」とされています。一方、建売住宅や注文住宅(土地なし)では約6倍というデータもあります。したがって、年収倍率は購入タイプによっても異なることを理解しておくとよいでしょう。
次に返済負担率ですが、これは年収に対する年間返済額の割合です。フラット三十五では、年収四百万円未満の方は返済負担率30%以下、四百万円以上の方は35%以下という審査基準が設けられています。一方で無理なく返済を続けやすい目安としては、年収に対して20〜25%程度が推奨されています。とくに年収四百万円未満の方は、返済負担率30%までなら対応可能なケースがあることも参考になります。
以下の表に、年収別の返済負担率による年間返済額の目安を整理しました(おおよその数値です)。この表を参考に、ご自身の年収に合わせて無理のない予算をイメージしてみてください。
| 年収 | 返済負担率(%) | 年間返済額の目安 |
|---|---|---|
| 300万円 | 20 | 60万円 |
| 400万円 | 25 | 100万円 |
| 500万円 | 25 | 125万円 |
このように、自分の年収から「理想的な借入倍率」と「無理のない返済負担率」を両方確認することで、現実的で安心できる住宅購入予算の目安を把握できます。

年収別・月々の返済額シミュレーション
住宅ローンを検討する際、年収に応じて月々の返済額がどれくらいになるのかを把握することは、とても大切です。返済負担率(=年間返済額÷年収)を目安に、無理のない返済額を検討しましょう。
以下の表は、世帯年収ごとに返済負担率が20%、25%の場合の月々の返済額の目安をまとめたものです(返済期間35年、金利1.5%固定と想定)
| 年収 | 返済負担率20% | 返済負担率25% |
|---|---|---|
| 年収300万円 | 約5万円 | 約6万2,500円 |
| 年収500万円 | 約8万3,300円 | 約10万4,200円 |
| 年収700万円 | 約11万6,700円 | 約14万5,800円 |
(例)年収500万円の方が返済負担率20%とした場合、年間返済額は100万円(月約8万3,300円)、返済負担率25%なら年間約125万円(月約10万4,200円)になります。このように、家計の余裕に応じた月々の返済目安を設定することが大切です。出典を参考にしました。
次に、返済期間や金利の違いによって借入可能額や月々の返済額がどのように変わるかをご説明します。例えば、年収500万円の方で返済負担率を25%とした場合、借入可能額は返済期間が長いほど多くなります。仮に返済期間が35年・金利1.5%であれば、借入可能額の目安は約3,397万円となります。
さらに、手取り月収に対する返済額の割合に注目すると、家計に与える影響をより具体的に意識できます。例えば、年収500万円の手取りが約38.7万円だとすれば、月々の返済額10万円は手取りの約26%になります。返済負担率25%に近いこの範囲であれば、生活費や貯蓄を圧迫せず、安心して返済計画を立てやすいといえます。
自己資金の準備としての頭金・諸費用の考え方
住宅を安心して購入するためには、頭金と諸費用の準備が欠かせません。まず、頭金として物件価格の二割から三割を用意することには、以下のようなメリットがあります。
| 利点 | 説明 | 効果 |
|---|---|---|
| 返済総額の軽減 | 借入額を減らせるため、支払う利息も少なくなります | 負担を大きく抑えられます |
| 返済期間の短縮 | ローン残高が少ないため、完済までの期間を短くできます | 早期にローンの完了が可能です |
| 売却時の安心 | 万が一売却する際、ローン残高が物件価額を上回らない可能性が高くなります | 資金不足のリスクを回避できます |
実際、多くの購入者は頭金として物件価格の一割から二割を用意しており、フラット35の利用者調査でも、頭金の割合はおおよそ十から二十%にのぼっています 。理想的には二割から三割を目安にすることで、より家計に優しい返済計画が立てられます 。
さらに、住宅購入には諸費用が別途必要で、物件価格の三〜十%程度が一般的な目安です 。例えば三千万円の物件ならば、諸費用として百五十万〜三百万円ほどが必要になることもあります 。
具体的な資金設計のポイントとして、まずは物件価格に対して頭金二〜三割と諸費用分を併せて確認しましょう。以下のような資金構成のシンプルなモデルもご参考になります。
| 項目 | 割合(目安) | 説明 |
|---|---|---|
| 頭金 | 20~30% | ローン負担や金利を抑え、返済を安定させる基礎になります |
| 諸費用 | 3~10% | 登記費用や税金、保険料など購入に伴う諸手続きを含みます |
| 予備資金 | 数%(柔軟に) | 引越しや家具家電、突発的な支出にも余裕を持たせておくことが安心です |
このようにすることで、購入後の生活にも安心感を持ちながら、無理のない資金設計が可能になります。頭金や諸費用は、物件価格だけでなく、将来の生活設計もふまえて検討されると安心です。

長期的な家計に配慮した資金計画のポイント
住宅ローンの返済を始めると、教育費や老後資金など、将来に必要な支出とのバランスを取ることが重要になります。「住宅」「教育」「老後」は人生における三大支出とされ、それぞれに備える資金を計画的に準備する必要があります【※】。住宅購入を中心に据えるだけでなく、教育費や老後生活に向けた資産配分も同時に考えることが大切です(例:老後資金は「ローンがない」ため、自力で準備する必要があり優先度が高いとされます)。
無理のない返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)を維持しつつ、子どもの教育費や老後の生活費に対応できる余力を持った計画が望ましいです。つまり、返済負担に加えて、教育・老後資金も並行して準備できる余裕を持つことが重要です。
資金計画を見直す際には、以下のような視点を持つことが有効です:
| 見直しの視点 | 考えるべき事項 | 家庭での対応例 |
|---|---|---|
| 年収変化リスク | 景気変動や転職による収入減への備え | 収入減時に備えた予備資金や見直し可能な支出の設定 |
| 金利変動 | 借入金利の上昇による返済額への影響 | 変動金利期間の終了後、固定金利への借り換えなど検討 |
| 家族構成の変化 | 出産・介護・転職など将来の生活変化 | ライフイベントを見越した貯蓄計画、変動に対応できる柔軟性の確保 |
これらの視点を踏まえ、住宅ローンだけでなく、教育費や老後資金、さらには想定外の支出にも対応できる資金計画を作成することが大切です。定期的に見直しを行うことで、長期にわたる安心できる家計運営につながります。
まとめ
住宅を購入する際は、ご自身の年収に見合った無理のない予算設定が何より大切です。年収倍率や返済負担率、月々の返済額などの目安を事前に把握し、計画的に資金準備を進めることで、将来の家計にも安心をもたらします。また、頭金や諸費用の準備、今後のライフイベントや収入変動への備えも欠かせません。無理のない返済とバランスの取れた家計設計を心がけ、安心して新しい住まいを手に入れていただければと思います。ご自身に合った資金計画を立てたい方は、ぜひ住和へお気軽にご相談ください。 地域に密着した目線で、無理のない住宅購入をサポートいたします。