
贈与税の非課税措置とは?相続との違いと選び方も解説
贈与税や相続税について、最近ニュースなどで耳にする機会が増えていますが、「どんな制度かよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。 本記事では、贈与税の非課税措置や相続税との違い、制度の選び方のポイントをわかりやすくご紹介します。住宅取得と関係の深い制度もありますので、マイホーム購入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

贈与税の基本と非課税措置の概要
贈与税とは、親や祖父母などから金銭や不動産などの財産を受け取った際にかかる税金です。ただし、毎年110万円までの贈与であれば「基礎控除」が適用され、贈与税はかかりません。さらに住宅の購入にあたって、一定の条件を満たせば「住宅取得等資金の贈与の特例」が適用され、数百万円単位で非課税となるケースもあります。
以下に、主な贈与税の非課税措置をまとめた表を示します。
| 非課税措置 | 概要 | 非課税限度額 |
|---|---|---|
| 教育資金の一括贈与 | 祖父母や父母から30歳未満の子や孫に対し、教育資金を一括贈与する場合、一定額まで非課税となる制度。 | 1,500万円 |
| 結婚・子育て資金の一括贈与 | 祖父母や父母から20歳以上50歳未満の子や孫に対し、結婚・子育て資金を一括贈与する場合、一定額まで非課税となる制度。 | 1,000万円 |
| 住宅取得等資金の贈与 | 父母や祖父母から住宅取得資金を贈与された場合、一定額まで非課税となる制度。 | 最大1,500万円(条件により異なる) |
これらの非課税措置を活用することで、贈与税の負担を軽減することが可能です。ただし、各制度には適用条件や手続きが定められているため、詳細を確認し、適切に利用することが重要です。
相続税の基本と非課税措置の概要
相続税は、亡くなった方の財産を引き継いだときに課される税金です。贈与税との違いは「いつもらうか」というタイミングにあります。生前にもらえば贈与税、亡くなった後なら相続税。どちらにも一定の控除がありますが、非課税の仕組みや手続きの流れが異なります。
基礎控除額の計算方法は以下の通りです:
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
例えば、法定相続人が3人の場合、基礎控除額は4,800万円となります。遺産総額がこの基礎控除額を超えない場合、相続税は課税されません。
さらに、相続税の負担を軽減するための非課税措置として、以下の特例があります:
- 配偶者控除:配偶者が相続する財産については、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額まで相続税が非課税となります。
- 小規模宅地等の特例:被相続人が居住していた宅地を相続する場合、一定の条件を満たせば、その宅地の評価額を最大80%減額することができます。
これらの非課税措置を適用するためには、所定の要件を満たし、相続税の申告期限内に申告を行う必要があります。適切な手続きを行うことで、相続税の負担を大幅に軽減することが可能です。

贈与税と相続税の非課税措置の違いと選択のポイント
贈与税には、毎年110万円までの基礎控除に加え、住宅購入などに使う資金であれば「住宅取得等資金の贈与の特例」により、700万円〜1,000万円程度まで非課税となる場合があります。一方、相続税には「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」の基礎控除があり、一定額までは税金がかからない仕組みです。どちらも制度を活用すれば、将来の負担を抑えることが可能です。
生前贈与と相続のどちらを選択すべきかは、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 贈与者および受贈者の年齢や健康状態
- 贈与財産の種類や価値
- 家族構成や相続人の数
- 将来の税制改正の可能性
例えば、将来的に価値が上昇する可能性のある不動産を生前贈与することで、相続時の税負担を軽減できる場合があります。しかし、相続時精算課税制度を選択すると、贈与者が亡くなった際に贈与財産が相続財産に加算されるため、相続税の負担が増加する可能性もあります。
贈与税と相続税の非課税措置を活用する際の注意点として、以下が挙げられます。
- 贈与契約書の作成や贈与税の申告など、適切な手続きを行うこと
- 相続時精算課税制度を選択した場合、暦年課税制度に戻すことができない点に留意すること
- 特例制度を利用する際は、適用条件や期限を確認し、要件を満たすこと
以下に、贈与税と相続税の非課税措置の主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 贈与税 | 相続税 |
|---|---|---|
| 基礎控除額 | 年間110万円 | 3,000万円+600万円×法定相続人の数 |
| 特例制度 | 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置など | 配偶者控除、小規模宅地等の特例など |
| 課税タイミング | 贈与時 | 被相続人の死亡時 |
最適な選択をするためには、専門家に相談し、個々の状況に応じた適切な対策を講じることが望ましいです。

2024年税制改正による贈与税と相続税の非課税措置の変更点
2024年の税制改正により、贈与税と相続税の非課税措置に重要な変更が加えられました。これらの改正点を詳しく解説いたします。
まず、贈与税の暦年課税制度における生前贈与加算期間が、従来の3年から7年に延長されました。これは、相続開始前7年以内に行われた贈与が相続財産に加算されることを意味します。具体的には、2024年1月1日以降の贈与が対象となり、2027年1月1日以降に発生する相続から適用されます。なお、延長された4年分(相続開始前4年から7年の間)の贈与については、合計100万円までが加算対象から控除されます。
次に、相続時精算課税制度において、年間110万円の基礎控除が新設されました。これにより、相続時精算課税制度を選択した場合でも、年間110万円以下の贈与については贈与税が非課税となり、相続財産への加算も不要となります。これまでの制度では、相続時精算課税制度を選択すると、すべての贈与が相続財産に加算されていましたが、今回の改正により、少額の贈与がより柔軟に行えるようになりました。
これらの改正により、贈与や相続の選択に影響が生じます。生前贈与を活用した相続税対策を検討する際には、贈与のタイミングや金額に注意が必要です。特に、相続開始前7年以内の贈与が相続財産に加算されるため、長期的な視点での計画が求められます。また、相続時精算課税制度の基礎控除を活用することで、少額の贈与を非課税で行うことが可能となり、資産移転の手段として有効です。非課税の制度は、それぞれ適用条件や時期に注意が必要です。たとえば、住宅購入前に援助を受ける場合は、事前に贈与契約書を用意するなどの準備が必要になります。また、将来的な相続を見越して「どちらを使うのがベストか」を判断するには、税理士など専門家への相談も有効です。当社でも、住宅購入時の資金相談を承っていますので、お気軽にご相談ください。
以下に、2024年税制改正による主な変更点をまとめます。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 生前贈与加算期間 | 相続開始前3年以内 | 相続開始前7年以内(2024年1月1日以降の贈与が対象) |
| 相続時精算課税制度の基礎控除 | なし | 年間110万円の基礎控除を新設 |
| 延長された4年分の贈与の控除 | 該当なし | 合計100万円まで相続財産への加算対象から控除 |
これらの改正を踏まえ、贈与や相続の計画を立てる際には、最新の税制を理解し、適切な対策を講じることが重要です。専門家と相談しながら、最適な資産移転の方法を検討されることをお勧めします。
まとめ
贈与税と相続税の非課税措置は、うまく活用すれば大きな節税効果が期待できます。特に住宅購入の際には、制度の違いや適用条件を理解して、無理のない資金計画を立てることが重要です。東武東上線エリアで住まい探しをされている方は、資金面のご相談も含めてお気軽にお問い合わせください。当社では、住宅購入とあわせた税制度の活用サポートも行っております。